インソールについての考察-その1
スポーツ店に行くと様々な「インソール」が売られています。
インソールとはシューズの中に何らかの目的をもって入れる、いわゆる「中敷き」ですね。
インソールにもいくつかの目的があって、主なものは「衝撃吸収」「ソックスの滑り防止」などですが、これらとはさらに別の目的のために売られているインソールがあります。
それが「アーチ形成」を目的としたインソール。
足の裏の土踏まずの当たりに固形の盛り上がりが作られているそれを踏むことで物理的な支えによってアーチを作る物です。
これは医療機関でも勧められたり、スポーツ商品としても盛んに宣伝されていることもあってスポーツの指導者が選手に使用を勧めていることもあります。
しかしながら
ひろメディカルケアでは基本的にこのタイプのインソールはお勧めしておりません。
確かに子ども達は扁平足の子が多くて、足のアーチが下がってしまっていることからいろいろな弊害が生じていることが多々あることは事実です。
そんな時にアーチ形成のインソールをシューズに入れることで扁平足を原因とした身体の痛みなどが軽減されることは実際に有り得るかと思いますし、バランス感覚などの身体の機能について一時的な改善につながる可能性も否定しません。
しかし当院では大きく以下の3つの理由からアーチ形成を目的としたインソールの使用については賛同出来ません。
- アーチを作るために本来は働くべき筋肉をサボらせることになる。
- フレシキブルに動く必要のある足の甲の関節を圧迫固定する可能性がある。
- 足の裏の血流阻害の要因になる可能性がある。
今回はこれらの中の最初の「アーチを作るために本来は働くべき筋肉をサボらせることになる」について書きたいと思います。
足のアーチもいくつかの筋肉が作用して作っている身体の機能の一つですので、アーチが下がる(扁平足になる)ということはそれらの筋肉の機能に何かしらの問題が起こっている可能性が高いです。
ということはアーチを作るためにどうするか?を考えた時に、固形物をシューズに入れて持ち上げることで形状として「アーチが出来る」ではなくて、働くべき筋肉をしっかりと働かせることによってアーチを作るということを目指すべきだと考えます。
物理的なサポートによってアーチを作った時に本来は足の裏を持ち上げる働きをする筋肉は働くか?
・・・と考えれば答えは明らかです。
自分が頑張らなくても物理的に支えられているなら輪をかけて働かなくなるわけで、その結果として使われてない筋肉はより一層弱くなってしまうのではないでしょうか。
使われない筋肉がどうなるか?を説明する際には私はよく宇宙飛行士の話をしますがそれについては下のブログをご参考にしてください。
インソールを入れて、形としてアーチが出来て、身体の痛いのが少し楽になった・・・で本当に良いのか?
これが50歳とか60歳くらいの大人が月に1度か2度くらいやるスポーツ時に使う程度なら特に反対しませんし、自己責任の範疇でもあります。
しかし、小学生や中学生などがこの考え方で日常的に使用することは本当に良いのか?
むしろ大人になってからでなく、子どもの時から自分自身の身体のウイークポイントを見つけたという思考になればやれることはインソールを使うことでなくもっと他にあるのでは?
もちろんそれは根気がいることで時間もかかることかもしれませんが「身体を作る・鍛える」というのはこういう部分も含まれているのでは?
もっと言えば、スポーツをやる目的とはプロになるとか日本代表にを目指すということだけでなくて、このように身体の基本的な機能を維持することもスポーツや運動を積極的にやらせる目的の一つなのでは?とも思うわけです。
なのに身体の痛みの対処や、運動のパフォーマンスを一時的に得るために必要な身体の問題を安易に物に頼ってしまうというのはおかしいような気がします。
今回はこの辺で。
それでは良い一日を!
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