自分で膝の痛みを抱えてみて改めてわかったこと
今回は少しばかりお恥ずかしいお話なのですが・・・。
先々週のことなのですが、突然に膝にウズウズと痛みを感じまして。
そういえば昨日、机にぶつけたなぁ・・・などと考えて特に心配もしていなかったのですがだんだんと痛みが増してきまして・・・。
あ、これはもしかして・・と思い当たることあり、「まさか・・」と思っていたのですがやがて膝に強い炎症がおこって確信しました。
それは「痛風」
結果、痛みを感じ始めて2日後にはこのような状態に・・・。
時々、足の親指に痛風発作が出ることはあったのですが膝に出たことはなかったのでまさかと思いましたがこれはまさしくそうであろうと・・・。
痛風というと昔は「贅沢病」などとも言われていましたが最近では認識がだいぶ変わってきて体質的な要因が多い。
僕は普段は食べる量もそれほど食べないし間食などもしない。
体重も178cmで70kgなので肥満ということでもない。
それでも発作が出てしまう・・・。
まあ、痛風についてはまた改めて書きたいと思いますが、今回は「膝に痛風発作が出て死ぬほどつらい体験をして分かったこと」についてです。
身体が痛いということ
これまでも年に1回とか、2年に1回といった程度に痛風発作がおきて足の指が腫れることはありまして。
その度に異常な痛みを抱えて数日を過ごすのですが、これは実は身体の痛みケアをやっている立場としては貴重な経験だという考え方をするようにしていました。
「身体が痛い」ということのつらさを身に染みて感じることで患者さんの苦しい気持ちを理解できると。
足の親指が腫れて痛風の痛みが出ると、これが言葉にできないほどの痛みで、足を床に着くこともできないし、靴をはくこともできない。
ひどい時にはソックスさえ履けない。
こんな状態になってしまうと何をしていても気持ちが凹んでしまいます。
朝に目が覚めるとまず痛みを感じる。
そうすると「あぁ、、、またあの痛い1日が始まるのか・・・」と心のそこから憂鬱になる。
トイレに行きたくなると「あぁ、、、立ち上がらないとだめか・・・」とそれも憂鬱になる。
とにかく何をやっても激痛が来ると思うと何もやる気がなくなってしまいます。
大袈裟ではなくて、「生きることが憂鬱」という気持ちになるのです(汗)
痛風発作が起きてしまうと、成す術はありません。
痛風は筋肉の問題ではなくて血液の病気であり、関節内の炎症のため通常のボディケアは無意味。
無意味どころかあまりの激痛のため触れることも出来ない。
やれることは「痛み止め」と「アイシング」くらい。
でもこれもほとんど効く感じはない。
痛み止めは身体のことを考えれば基本的には飲まない方が良いのです。
しかし、そんなことは言っていられないほどの痛みがある場合にはそのような対処療法に頼ることもやむを得ない事と理解できます。
理屈だけなら「対処療法は意味ないから頼らない」というのは正論ですし、僕も患者さんには基本的な話としてはそのように言います。
ですが、自身がこのような状況になることで「痛み止めに頼らなければならない心境」を理解できるのは意味があるかもと思います。
これが分かることで「なんとかその状況から脱するお手伝いをしてあげたい」とも心の底から感じますし、目の前の患者さん一人一人に対して絶対に手は抜けない・・と思うわけです。
経験したことのない膝の痛み
「身体が痛い」という大きなテーマについて感じることはそれはそれとして、今回は「膝がどうにもならない状態になってしまったことで感じたこと」についてです。
これまで膝に痛風発作が出たことはなかったし、競技などのスポーツ傷害や外傷などで膝を本格的に痛めたことはありませんでした。
なので「膝の痛みのつらさ」ということについての認識としては正直言って「想像」の話でした。
ですが最初に痛みを感じてから3日後には自分の左膝がこのような状態になってしまいました。
パンパンに腫れて熱が出て、とにかく曲がらない。
真っすぐに近い形にしていると楽なのですが少しでも曲げたり、膝に重さが加わると激痛。
この写真はソファに座っているのですがアイシング直後なのでここまで曲がっていますがそれでもこの曲げが限界でこれ以上曲がると激痛。
真っすぐに近いと楽とはいえ、ずっと同じ状態にしていると固まってしまって曲がった時の痛みが倍増するというこの矛盾、、、
横に寝る時にも膝に重みが掛かると激痛
身体の痛みには意味がある・・・とは言うものの、何もここまで痛くなくても良いだろ!と。
やれることは痛み止め服用とアイシングのみ。
通常は「アイシングは短い時間をこまめに」と患者さんには言うのですが、ここまで腫れと熱がある場合にはキッチリと冷やしてある程度の圧迫を掛けた方が有効ということも我が身にて確認できました(笑)
アイシングはアイスパックよりは氷の方が効果が大きい。
下の写真ではラップを使っていますがバンテージなどで患部に強めに巻き付けることでしっかりと冷えるし、氷水を揉むように動かすことで冷感が増すことも実感できました。
この状態で15分のアイシング&圧迫と30分のインターバルを繰り返すことで改善効果を感じました。
このような状態に膝がなってしまうとどのような事になるのか?
今回に自分で実感してみてとにかく「想像をこえるつらさ」でした。
その中でも特に日常生活の中で支障を強く感じたのが下の3つ。
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この3つがつらいというのは普通に生活してるとなかなか想像できないし、ましてや実感できないことだと思います。
「つらいだろう」とは僕も頭の中で想像はしていましたが今回に想像を越える辛さを経験しましたので、これらがどういう事なのか?について書いてみたいと思います。
椅子に座るのがつらい
膝が曲がると痛いので椅子に座ることが出来ません。
足を伸ばせればまだ良いのですがそれでも膝を伸ばしているだけで膝に足の重みが掛かるのでだんだんとつらくなってくる。
同じ状態が続くので関節も固まる感じになってしまう。
その状況から立ち上がる時にはどうしても膝を曲げる必要があるのでその時には悲鳴が出るほどの激痛が・・・。
この期間に特につらかったのが「車」と「トイレ」。
車は膝を伸ばすほどのスペースが無くて膝がどうしても少し曲がってしまう。
トイレも便座に座る時には足を伸ばし切るほどのスペースが無いので同様。
トイレの場合には便座に座る時と立ち上がる時にもドアの手すりを持ちながらでないと座ることも立つこともできないというありさまでした。
いろいろと辛い状況はありましたが僕としては特にこの二つについては心のそこから憂鬱でした。
段差が越えられない
膝が曲げられない上に重さを支えられないので段差を越えることが至難の業です。
「階段」とかでなくて「段差」です(階段は論外)。
町中によくある下の写真のようなこんな段差を真っすぐに上り下りが出来ないのです。
特に降りるのがつらい。
右足から降りると膝がまがって激痛。
左足から降りると荷重がかかって激痛。
もう箱根の山より越えがたい難所です。
ではどうするか?といえば横を向いて上り下りする・・・。
その時にも左膝が曲がらないような恰好で・・・。
こんな状況の中では「今日は何をしようか」「今日はどこへ行こうか」などと前向きな気持ちなんかなれる訳ないですよね(汗)
道を歩くのがこわい
ずっと膝の痛みを我慢している生活をしていると膝周囲の筋肉が固まってくるのが分かります。
特に「膝窩筋」と「縫工筋」がガッチガチになってきているのが分かる(おそらくはそれも膝の痛みを増幅させている)。
この二つの筋肉は膝の安定にとても重要なのですが、それが機能不全のような状態になってしまうと膝が安定しなくなってきます。
具体的には歩いていると突然に「ガクッ!」と膝が抜けるようなことが増えてきます。
その都度に「おっと・・・」と持ちこたえるのですが、突然にこれが起こるとドキッとします。
特に横を車が走っている時に起こると本当に怖いです。
なので道を歩く時には車が走る位置から出来るだけ離れて歩いていました。
また、横断歩道を渡る時にも信号がいつ赤に変わるか微妙なタイミングには渡らないで次に青になるのも待ったりもしました。
渡ってる途中で赤になってしまうとヨチヨチ歩きしかできないため怖いのです。
それ以前に道の途中で激痛が襲って動けなくなったらどうしよう・・・などと常にビクビクしてました。
まとめ
まだまだ上に書いた事以外にもまだたくさんあります。
とにかくこうなってしまうと健常な人には理解出来ないであろう状態になってしまう・・・。
立場的に「膝が痛くて・・・」というお悩みを聞いた事はこれまでに数えきれないくらいあります。
その中には(特に高齢者のかたは)ずっと病院に通っても治らないという方が多くいらっしゃいます。
そのようなかたはみなさん上の3つのどれか(あるいはいくつか)をおっしゃいます。
これまでは僕もそれを聞くたびに理解していたつもりではいましたが、今回に「今まで甘かった!」と心の底から思いました。
僕の場合は痛風発作なので数日すれば痛みが消えることはわかっています。
ですが、そうでない膝痛のかたはみなさん「何年も病院に行ってるけど・・・」というかたがとても多くて良くなる未来が見えない。
そのような毎日では「気持ちを明るく!」とか言われてもまったく響かないでしょうし、「この辛さがあんたにわかるか?」と言いたくなる気持ちになりるでしょう。
「オペはしない方が良い」とか「対処療法は意味がない」とは理屈では分かっていても、このような状況が終わりが見えない中で続いていればそれらに頼りたくなる気持ちも良く分かります。
この経験を通してこれまで以上に膝痛でお悩みになられるかたの力になりたいと強く感じました。
これを良い経験として、少しでもこのつらい苦しみから抜け出せるお手伝いが出来るように精進したいと思います。
それでは良い一日を!
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