コップの水理論 ポジティブな気持ちが身体を変える 相模原 ひろメディカルケア
「コップの水理論」ってご存知でしょうか。
経営学者のドラッカーの有名な理論です。
今日はこの考え方が身体の痛み改善に大いに関わる・・というお話です。
ピーター・ファーディナンド・ドラッカー(Peter Ferdinand Drucker、ドイツ語名:ペーター・フェルディナント・ドルッカー 、1909年11月19日 – 2005年11月11日)は、オーストリア・ウィーン生まれのユダヤ系オーストリア人 経営学者。「現代経営学」あるいは「マネジメント」(management) の発明者。
Wikipedia「ピーター・ドラッカー」より
コップの水理論
コップの水理論とは以下のようなものです。
「コップに『半分入っている』と『半分空である』とは、量的には同じである。だが、意味はまったく違う。とるべき行動も違う。世の中の認識が『半分入っている』から『半分空である』に変わるとき、イノベーションの機会が生まれる」
P・F・ドラッカー『イノベーションと起業家精神』より
コップに水が半分入っている時に視点を「水」に持っていくのか「空の部分」に持っていくのか。
どちらに視点を持っていても水の量自体は同じで変わりません。
水の量は変わらないのですが「まだ半分ある」なのか「もう半分ない」なのか、その捉え方で行動が変わる・・・というものです。
告白しておきますが、実は私はドラッカーのこの言葉の意図するところがよく分かっていません。
文章を素直に読むと「『まだ』から『もう』に変わるときがイノベーションする時」と読めます。
ということは、「楽観していてはいけない」という「ネガティブ的な意味合い」が強いのでは?と感じるのです。
しかし、一般的にはこの理論はポジティブ的な物の見方の奨励として使われていることが多い印象があります。
つまり、「もう」と考えるよりも「まだ」と考えましょう!という形で使われるケースが多いということですね。
「ポジティブ論」なのか「ネガティブ論」なのか。
そのどちらかではなくて「両方の視点をもつ」ということのようにも思いますが、果たしてどちらが正解なのかいろいろ調べても未だに私は明確に出来ていません。
しかし、今回の記事は「経営論」ではありませんのでそこはあまり気にしないで話を進めたいとおもいます。
身体の改善には「ポジティブ論」として当てはめる
ドラッカーは経営学者なので「会社経営」ということ向けての深い意味合いがあるのだと思います。
しかし、ここでは当院に起こし頂いた方の「身体の支障改善」について「コップの水理論」の文章を当てはめた場合とします。
それならばこれはシンプルに「ポジティブ論」として考えるべきです。
私は患者さんに時々この「コップの水理論」の話をさせていただきますが、それが身体の痛みなどの改善に意味があるからです。
※ただし、お越しいただく前の段階でしたら「ネガティブ論」の方が良いかもしれません・・・。
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痛みが半分になった事をどう捉えるか
例えば、ずっと膝が痛くて困っているかたがいらっしゃったとします。
具体的には以下のような状況として仮定します。
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このような状況でお困りの方はこれまでにたくさん起こしいただいているので珍しい設定ではありません。
お越しいただいてから問診や触診をしてからケアを始めることになりますが、この段階ではほとんどのかたは「懐疑的」な感情をお持ちになられています。
「知り合いに勧められたから来たけどもう2年も治らないのだからどうせ無理でしょう・・・」という空気感。
もちろん直接お言葉にされるかたは少ないのですがダイレクトにお口におっしゃるかたも時々いらっしゃいます。
これはそれまでのご苦労を考えれば私も理解出来ますので特段にどうこうは思いません。
問題なのはこの次の段階で2つの考え方に別れるという点です。
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「半分」の捉え方
当院では特に初回は少しずつ様子をお聞きしながらケアを進めます。
膝の場合でしたらひとつのステップが終わる毎に「一度立って様子を教えてください」と確認する形です。
仮にその時に痛みの強さが「10」だったのが「5」になっているとします。
ここでタイプが別れるのですがそれは以下の2つです。
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この2つは何が違うかというと「良くなったところを見ている」か「悪いところを見ているか」の違いです。
これはまさに「コップの中にある半分の水」と同じです。
私に気を使って答える必要は全くないのですが、どちら側を見ているか?によってその後の改善には大きな差が出ることになります。
ですのでここでの反応は重要だと考えています。
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良いところを探す癖を
10の痛みが当院でケア後にゼロになってお帰りになられたとしても、年齢・症状の強さ・痛みのキャリア・・などによっては痛みの戻りが出ることはどうしてあります。
その時にポジティブに考えるかたは「痛みが戻った。でも前より楽になった」という発想になるでその後のケアが継続する傾向があります。
しかしネガティブに考えるかたは「痛みが戻った。やっぱり無駄なんだ」と諦めてしまうのです。
それは再来院の時に「前回からどうでしたか?」とお聞きした時にも差が出ます。
「痛くなったけど前に比べると良くなってます」なのか「痛くなっちゃって前とあまり変わらないです」なのか。
後者の「あまり変わらない」というかたも細かく聞いていくと実は良くなっている事に気づいていないということが多い。
以前に下の記事を書きました。
この女性は典型的なネガティブ思考でした。
当初は娘さんに言われて渋々来ている感じでして、「先日のケアのあとはどうでした?」と聞いても「2日くらいは良かったけど、あんまり前と変わらないかなぁ」とおっしゃるタイプ。
この「あんまり」が曲者なのです。
細かいことを確認した結果、以下のような結論となりました。
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このように振り返ってみると劇的では無いものの明らかに改善しているのがわかります。
1と2の部分だけを見るとあまり変化が無いのですが、3,4,5を見るとまったく内容が変わります。
そういう点を細かく確認した後でご本人に「前よりも良くなっていますよ」とお話させていただいて、その時に「コップの水」の話もさせていただきました。
すると「あ、そうなんですね!」と何かしらお気づきがあったようでそれからは反応がポジティブになられました。
それが3回目のご来院時でしたがそこからはドンドンと改善されて約3ヶ月(7回の来院)で終了となった次第です。
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まとめ
根気よく治療を続けるには「良くなっている」という感覚を持てるかどうかは重要です。
しかし、長年の苦労から「良くなるはずがない」と心の奥で思ってしまっているとそれが持てなくなってしまいます。
気持ちを前向きに持つことは想像以上に身体に影響を及ぼします。
身体のケアに関してだけでなく気持ちを前向きにポジティブな人生を送りましょう。
そういう意味も含めてアドラー心理学についての記事を書いてますのでそちらも是非ともお読みくださいね
それでは良い一日を!