「オスグッドにはストレッチ」に反対する理由
ジュニア年代に多いスポーツ障害といってまず思いつくといえば、膝が痛くなる「オスグッド」ではないでしょうか。
またオスグッドに似た要因で起こるものに「ジャンパー膝」というのもあります。
これらによって膝の痛みを発症して治療にいくと対処としてよく勧められるのが「太もものストレッチ」です。
また踵の痛みなどもスポーツをやっていると多く発症する傾向がありますが、これも対処として「ふくらはぎのストレッチ」を勧められます。
サッカーチームの指導者さんなども膝などが痛い選手に「ストレッチが足りない」「毎日ストレッチをしろ」と言うことが多くあるようですし、ネットを検索してもほとんど同じ傾向ですね。
このように、とにかくストレッチが大事!というのが一般的に多い傾向があるように感じます。
ですが!
その指示こそが選手の膝を痛めているかもしれませんよ?
というお話です。
オスグッドにストレッチを勧める理由
まず考える必要があるのは、「なぜオスグッドやジャンパー膝の選手にストレッチを勧める」のか?ですが、その前にオスグッドとはどういう流れで痛みが出るのかを復習しましょう。
下の図のように太もも前の筋肉(大腿四頭筋)が何らかの理由で硬くなり引っ張られることで膝の下(脛骨粗面)に炎症が出る。
これがオスグッドです。
おそらくはストレッチを勧める理由は以下のような流れだと思われます。
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最終的にストレッチに行き着く考え方の大前提として「ストレッチをすると筋肉が柔らかくなる」ということがあります。
そもそも、「ストレッチで筋肉が柔らかくなる」が本当か??ということがありますが、それはこの投稿では触れないでおきますので興味あるかたは下のリンクを読んでみてください。
ストレッチの有効性には諸説あるのも確かなのですが、当院での考え方として・・・ということでご参考にしてください。
ストレッチをするということは?
下の画像を見てイメージしてください。
親指と中指に輪ゴムを引っ掛けていますが、輪ゴムを「太ももの筋肉(大腿四頭筋)」として親指をその筋肉の「起始(股関節)」、中指をその筋肉の「停止(膝の下(脛骨粗面))」、そしてとします。
※「起始」「停止」というのは筋肉が付着する「始まりと終わり」とお考えください。
これを伸ばしてみると下のような状態になります。
輪ゴム一本は柔らかく柔軟なので両方の指先には大きな負荷はかからず特に支障はありません。
これを膝に例えるならば膝下を曲げて腿の前を伸ばして腿前の筋肉が引っ張られているような下のような状態です。
この時、筋肉の起始と停止には負荷が生じますが筋肉が柔軟状態ならば大きな負荷はかからず支障ありません。
それでは、下の画像をみてください。
今度は輪ゴムをたくさん引っ掛けています。
これは先ほどの状態と比較して「筋肉が固くなった状態」であり「中指が痛い状態(オスグッド発症中)」とお考えください。
この状態でも指を広げる動作をしなければ先ほどの状態とは大きな差はありませんが指の動かしにくさなどは確実に感じます。
そこで、重なったことで固くなっている輪ゴムを柔らかくするためにストレッチをするとします。
つまり、下の画像のよう指を広げて輪ゴムを一生懸命に伸ばす動作をする(つまりストレッチする)わけですが、この状態の時に両方の指への負担はどうでしょう?
輪ゴムが硬いので指を広げようとすると親指と中指にかなり負担が掛かります。
特に力が弱い中指には輪ゴムが食い込んでかなり負担が掛かっています。
つまり、「ストレッチをすることで炎症部位が引っ張られる状況に輪を掛けている」ことがわかります。
オスグッドは膝下の部位が引っ張られて炎症が起こっている状態ですが、この動作がオスグッド対策に本当に良いのかどうか?
引っ張られて炎症が起こっている部位にさらに引っ張る力を加えると痛みが出ている部位はどうなるのか?
それでも1回か2回程度のストレッチを我慢すれば筋肉が柔らかくなって結果的にその後で改善する・・・ということならそれはそれですが、、、
まあそんなことは考えにくいですし、それくらいで柔軟になるならそもそもオスグッドなんかにならないのではないのかと思います。
まとめ
ここまでご説明させていただいてような考え方から当院では「オスグッドにはストレッチ」という対処はお勧め出来ません。
むしろ悪化させる可能性が大きいという考え方です。
100歩譲ってストレッチで筋肉が柔らかくなり、オスグッド対策に有効だとしても痛みが出ている時にはやめるべきです。
今回はオスグッドを例にとりましたが、踵の痛みや腰痛なども同じかと思います。
それでは良い一日を!
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