「RICE処置を疑う-圧迫と挙上について」 相模原 成長痛と身体の痛み改善専門 【ひろメディカルケア】
こんにちは。
成長痛と身体の痛みの改善専門家、ひろメディカルケアのヒロです。
スポーツ指導者のみなさんは様々な講習などで普段から知識の吸収をされていらっしゃると思いますが、その中には立場的な性質上からもメディカルに関することもあるかと思います。
私はサッカーの指導をさせていただいておりましたが、サッカー指導者のかたの場合には日本サッカー協会の公認指導者講習のメディカル講義で「RICE処置」というものを教わった事で「目から鱗が落ちた」という方は多いのではないのでしょうか。
「REST(休息=患部固定)」と「Icing(冷却)」については何となくみなさんご存じだったとしても残りの二つの「圧迫」と「挙上」。
この二つについてはこういった講習という場で初めて聞くということも多いので新しい知識が増えたという喜びとしては大きくなるのかもしれません。
私も初めてこれらを知った時には「そういうことなのか!」という感動がありました。
そして、それからはグラウンドで足を捻ったという子どもなどは手近にあるタオルやビブスなどでグッと縛って圧迫して足を高く上げさせていたりもしていました。
しかし、身体のことを本格的に勉強してからはこの処置に疑問を覚え初めまして、よほどの必要性があるファーストエイド以外にはやらなくなりました。
それはなぜか?
RICE処置についての3回目となる今回はこの「圧迫」と「挙上」についてです。
「REST」と「ICING」についてはこちら↓
compression(圧迫)とelevation(挙上)
まずはRICE処置についてのおさらい。
RICEの法則(ライスのほうそく)とは身体が傷害を負った際に早急に執るべき応急処置における法則の事である。
Rは「Rest」(安静)、Iは「Icing」(冷却)、Cは「Compression」(圧迫)、Eは「Elevation」(挙上―持ち上げておく)の頭文字をとったものである。これらは医学的な根拠から傷害を負った際に出来る限り患部の炎症や出血を抑えるための方法である。病院などの医療機関での診断を受けるまでは出来る限りRICEに則った措置を執る事が推奨されている。
Wikipedeia「RICEの法則」
このうちの「REST」と「ICING」については上記したように書いてきまして今回は残りふたつです。
「圧迫」は怪我した患部を文字通り圧迫することです。
バンテージや包帯やタオルなどで患部をしっかりと縛るなどして圧迫する。
「挙上」は痛めた患部を心臓よりも高い位置に保持する。
指導者講習での講義時には圧迫と挙上の目的は「腫れを防ぐため」と教わった記憶があります。
圧迫と挙上で何がおこるのか
怪我した患部を圧迫して挙上するとどういうことが起こるのか。
怪我した身体が自らを修復するために必要なものは「栄養」「酸素」の供給と不要なものの「排出」でした。
「栄養」と「酸素」を運ぶのは【血液】
不要なものを排出するのは【リンパ液】
この二つの流れをいかに良くするかが怪我を改善させるにあたって重要でした。
圧迫と挙上という方法に従った行動はこの場合には具体的に表現すると「足首を包帯などでしっかりと圧迫して、台などに乗せて足首を心臓よりも高い位置に保つ」です。
では圧迫して挙上させると患部はどのような状況になるのか?
言い換えると強く圧迫されて心臓よりも高くあげた場合、患部周辺の血流とリンパの流れはどうなるか?です。
やることは「押さえつけて高く上げる」です。
当然ながら血液とリンパの流れは阻害されますので、これは怪我部位の回復のためになるはずの「血液とリンパの流れを促進」と逆のことになります。
この状況は受傷した部位の修復にとってはプラスなのかマイナスなのか。
血液とリンパの流れを阻害するわけですから答えはマイナスです。
傷ついた部位の回復のためには血液とリンパ液の流れを促進させるべきだと私は考えます。
余談。腫れてしまった部位に対しては当院では「メディカルテーピング」による効果で対応します。筋肉の深層ではなく皮膚表面付近に効果のあるテーピング技法を用いることで大きな腫れも短期間で改善効果を期待できます。
RICE処置の目的
私は日本サッカー協会のメディカル講義で習ったRICE処置。
しかし、大事なことは「RICE処置」とはそもそもどのような状況下で用いることを想定しているのか?
C:圧迫 出血などの外傷で損傷した患部の血管などは、場合によっては出血がとまらない可能性が存在する。そのため、患部周辺または上流部分の動脈を圧迫し、一時的に血流量を落とすことによって血小板による血管修復のペースを出血量が上回らないようにするためである。
E:挙上 出血などの外傷で損傷してしまった部位を心臓の位置よりも高く挙上することにより、重力によって出血量が減る効果を期待するためである。
wikipedia「RICEの法則」より
この文章で注目すべきなのは両方に「出血などの外傷」という事柄が入っている点です。
RICE処置というものが「出血」してしまったような外傷のための処置だと考えると腑に落ちます。
出血した部位を仮に足だとすれば怪我した足の部位を縛って(圧迫して)、心臓よりも高く上げる(挙上する)という事には意味があります。
さらに患部を固定して動かさない、ひたすら冷やす・・というのも納得できます。
これらは外傷時に「出血量を減らす」「痛みを緩和する」という目的として考えるとこの方法はファーストエイド(応急処置)として非常に適切です。
出血してしまったら血液の流出を防ぐ必要があるので血流は悪くしたいのです。
また出血していないとしても強烈な痛みが発生しているような場合にはそれを緩和するための処置としても有効です。
これらのことから「RICE処置」というのは「外出血を伴うような怪我」や「骨折を疑うような重度な怪我」といった場面を想定した場合のファーストエイドとして適当とされたものを、スポーツにおいて起こることが多い日常的な怪我(捻挫など)への処置にそのまま引用されている状況になっているという推測が生まれます。
しかし、このような場面では有効・・・という部分についてはあまり周知されていないように思います。
少なくともRICE処置を一般的なスポーツの現場におこる程度の怪我に対する対応やその修復段階、あるいはそのリハビリの段階に対して当てはめるのはどうなのか?という疑問が私はあります。
もしかしたら現実には怪我の修復段階やリハビリ段階において「挙上」を言われることはあまりないかもしれませんが、「圧迫」については治療手段の一つとしてや、修復の段階での処置として多いのが現実です。
それは例えば、黒サポーターやホワイトテーピングの使用という形としてです。
黒サポーターもホワイトテープも主の目的は「固定」ですが同時にかなり強い「圧迫」が伴っています。
これらを使用することは選手の怪我の回復にとってはプラスなのかどうか。
私はやはりマイナスだと思うのですがはたしてこれをお読みになられたみなさんはいかがお考えでしょうか。
それでは良い一日を!
よろしければ下のバナーをクリックお願いします!
膝が痛い・肩が上がらない・腰が痛いなどでお困りでしたらご相談ください
当院の詳細はこちら:ひろメディカルケアのホームページ
LINE公式アカウントからお問い合わせやご予約も可能です:ひろメディカルケアLINE公式アカウント
twitterでも情報発信中です:ひろメディカルケアのtwitter
※このブログ内、及びリンク先に書かれている内容はあくまでも個人の感想であり万人に同じような効能効果を保証するものではありません
当院使用のキネシオロジーテープです |